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2009年4月25日 (土)

ビタミンでがん予防はできる?ー肺がんについて

 最近の健康志向でビタミン剤などのサプリメントを飲まれる方が多いと思います。サプリメント市場は2006年で 1,239億円だそうです。(富士経済調べ)

 ところで、がん予防のための食事に関しては、まずは野菜果物が思い浮かぶ人も多いと思います。でも、野菜や果物を十分には取れないということで、サプリンメントを使用される方も多いと思います。

 それでは、ビタミンの肺がんに対する予防効果は医学的にはどうでしょうか?

 いくつかの調査があります。
1. レチノイド (ビタミンA類縁化合物),
2. アルファトコフェノール (ビタミンE の成分の一つ),
3. ベータカロチン (体内でビタミンAになる)

 などの肺がん予防効果が、研究されています。

 しかし、残念ながら、予防効果はありませんでした。

 しかも、驚くことに、喫煙者でβカロチンやレチノイドを飲んだ人は肺がんはむしろ18-28%程度増えるという調査結果でした。1)2)。喫煙者は、βカロチンサプリメントは飲むべきでないとまで著者らは述べています。1)
やはり、基本に戻って、禁煙で肺がん予防をしましょう。

1) Virtamo J, Pietinen P, Huttunen JK, Korhonen P, Malila N, Virtanen MJ, et al. Incidence of cancer and mortality following alpha-tocopherol and beta-carotene supplementation: a postintervention follow-up. JAMA. 2003 Jul 23;290(4):476-85.  →29,133人の調査
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12876090?dopt=Citation

2) Omenn GS, Goodman GE, Thornquist MD, Balmes J, Cullen MR, Glass A, et al. Effects of a combination of beta carotene and vitamin A on lung cancer and cardiovascular disease. N Engl J Med. 1996 May 2;334(18):1150-5.  →18,314人の調査
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8602180?dopt=Citation

 がん予防については下記の3冊の本が参考になります。どの本にも禁煙の重要性が書かれています。
 がん予防の正しい知識を身につけましょう。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

俳優の勝野洋(59)とタレントのキャシー中島(57)夫妻の長女七奈美さんが肺がんが見つかった。
 その後は抗がん剤と放射線治療のほか、民間療法も試しながら入退院を繰り返した。
亡くなる前日の6日になって容体が急変した。
若いとタバコ以外と考えられますが、どんな原因が考えられますか。

投稿: 肺がん | 2009年7月 8日 (水) 10時45分

29歳だそうですね。ご両親の悲しみはいかほどかと思います。まずは、お悔やみ申し上げます。

 私も20代、30代の肺がん患者さんの主治医になったことがあります。本人にとっても、家族にとっても、また、私たち医療者にとってもつらかったのを覚えています。

 では、冷静になってお答えします。

 原因は、大きく分けて、外的要因と内的要因に分かれます。
 外的要因は、若くても変わりなく、発がん物質への曝露ですので、本人の喫煙、間接喫煙や、アスベスト、ディーゼル排気ガスなどの原因がまず考えられます。
 しかし、非常に若いので、内的要因として、本人の遺伝子に問題があった(発がん物質を分解、代謝、排出する機構のどこかが遺伝子のレベルで弱かったなど)が考えられます。

 すなわち、若い方のがんは、タバコなどの発がん物質に遺伝子のレベルで弱い体質なのだということです。そのような方は、遺伝子をどうこうすることはできませんので、とにかく、発がん物質から遠ざかることしかないと思います。

 最後にもう一度七奈美さんのご冥福をお祈り申し上げます。

投稿: 楽しく禁煙 | 2009年7月 8日 (水) 12時21分

喫煙率が降下しているのにと肺がん数が増えていると、喫煙者はいいます。
JT のグラフより
http://www.jti.co.jp/sstyle/think/basic/images/graph1.gif
しかし、喫煙し始めて平均20年たたないと肺がんには因果関係ない。
よって喫煙率、肺がん死者数の関係が 約25年ずれますか?。
そうであれば、JTのグラフの山が25年ずれていることは、
喫煙率と肺がん死者数の因果関係をがJTのグラフがしめしている根拠になりますか。

投稿: JTの嘘 | 2009年7月27日 (月) 13時31分

>喫煙し始めて平均20年たたないと肺がんには因果関係ない。
>よって喫煙率、肺がん死者数の関係が 約25年ずれますか?。

 その通りです。タバコを吸って肺がんになるまでには20-30年のタイムラグがあります。
 ですから、現在の喫煙率の低下が肺がんの減少につながるにはまだまだ時間がかかります。
 一方、イギリスやアメリカでは、喫煙率の低下が早く起こっているために、肺がんの減少が起こっています。

>JTのグラフの山が25年ずれていることは、
>喫煙率と肺がん死者数の因果関係をがJTのグラフがしめしている根拠になりますか。

その通りです。JTのグラフこそが、タバコが肺がんの原因であることを示しています。

 

投稿: 楽しく禁煙 | 2009年7月30日 (木) 00時14分

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