タバコと密輸

タバコと密輸

　ＢＡＴジャパン社長　たばこ税上げ牽制　「粗悪偽造品　密輸で流入」-Fuji Sankei Business i.　より

という記事がありました。

　タバコ増税がらみで、タバコ業界からの反撃が始まっています。実際、タバコ会社も大変なようで、増税の額で株価が下がったり上がったりしているようです。

【兜町地獄耳】ＪＴが上昇　たばこ税小幅調整報道で

　BATの話にもあるように、タバコの増税がされるときには、いつも密輸が増えるから困りませんかという話をタバコ会社は持ち出してきます。これは世界的なタバコ会社の言い訳です。

　しかし、下記の事実をかみしめて下さい。特に最後の　WHO の公式ハンドブックの内容は驚愕です。

1.　2007年　週間東洋経済の記事より、

　1998年に、BATの元幹部が中国への密輸を斡旋したとして、香港で有罪判決を受けた。専売制が続く中国市場でひそかにシェア拡大を狙い、密輸タバコを斡旋したという疑いだった。この事件についてBATは「会社が組織的に関与した事実はない」とする。

　たばこ税を大幅に引き上げたシンガポールでも、ここ2-3年で密輸が急増して次の増税を見送った。一部では、タバコ会社が意図的に密輸タバコを流したのではないかと見られている。

　こうしたたばこ会社の横流し疑惑に対し、EUは黙っていなかった。00年にフィリップ・モリスやJTI (JTの海外子会社)に対し、密輸と知りつつ卸売り販売したとして、損害賠償と密輸禁止を求める訴訟を米ニューヨーク連邦地裁に起こしたのだ。

　その結果は、和解金１３５０億円で合意　ＥＵと米たばこ大手-47NEWS という結果となりました。

　＜参考＞　週間東洋経済 2007/3/24 の特集「ガンの嘘　不都合な「たばこ」の真実」
　

2. 1999年　ニューヨークタイムズ 12/22
カナダ政府がRJレイノルズを密輸で告訴　Canada Sues R. J. Reynolds　

3. タバコ産業を制御するのが密輸防止のカギ（Joossens and Raw タバココントロール誌 2008年）
Progress in combating cigarette smuggling: controlling the supply chain

4. WHO タバコ規制のための国家能力の構築のハンドブック　http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/dl/control01.pdf　

　ラテンアメリカを担当しているBAT社とフィリップ・モリス社の上級役員の間の会合の覚書によれば、「大がかりな市場占有率協定、価格操作および市場維持のための支出制限におけるカルテル活動」が明らかにされており、また「この覚書は、BAT 社とフィリップ・モリス社が密輸市場および合法的な市場の双方で独立して価格を決定できることを示している」。このような文書による証拠があるにもかかわらず、タバコ業界は紙巻タバコの密輸との関連を否定している。