糖尿病とタバコの切っても切れない関係
糖尿病とタバコの切っても切れない関係
今から10年前に私は、糖尿病とタバコについて、講演用のスライドを作りました。
その当時は、あまり糖尿病とタバコの関係があまり言われていなかったので、色々なところで講演をしたり、周りのドクターに重要性を訴えていたことを思い出します。
私が勤めている病院の糖尿病専門医は理解があり、糖尿病の教育入院の中に禁煙の講義があるくらいですが、一般的にはまだまだ、禁煙の話をされない医師も多いようです。
ぜひ、日本糖尿病学会でも禁煙宣言をしていただけたらと思います。
アメリカ糖尿病学会はすでに2000年には糖尿病と喫煙の関係について勧告を出しています。
“糖尿病と喫煙に関する勧告”
Smoking and diabetes: American Diabetes Association. Diabetes Care. 2000 Jan;23(1):93-4.
さて、最近になり、糖尿病とタバコの関係が再び話題となっている様です。
そこで、以前作った糖尿病と喫煙のスライドをお示しします。
スライド1 2型糖尿病発症と喫煙の関係
実は、タバコを吸う人は、上記のスライドで分かるように、2型糖尿病を発症しやすいのです。
10年前にスライドを作りましたが、色々な所に著作権を放棄し、配布したところ、現在では、日本循環器病学会のホームページに掲載していただいています。
利用していただきありがとうございます。
最近の信頼できる手法(専門的に言うとメタアナリシス)を使った論文でも 、2型糖尿病の発症と喫煙の関係はほぼ間違いない状況です。
スライド2 糖尿病合併症と喫煙の関係
糖尿病の合併症である心筋梗塞、脳梗塞、インポテンス、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、閉塞性動脈硬化症についても、タバコを吸うことで動脈硬化が進み増悪させます。
つまり、糖尿病と喫煙は共に全身の動脈硬化を引き起こすことで、上記の血管系合併症を起こすのです。
上記のことから、
糖尿病予備軍の方は禁煙を、糖尿病と診断された方も強く禁煙をお勧めします。
さて、最近、禁煙をした方はしばらく糖尿病発症のリスクが高い。という論文が出ました。
これは、一見今までの報告とは違う感じがします。
読み解くと、それまでの喫煙で、糖尿病のリスクが高まっている状態で禁煙をした時に、太ってしまうことが影響していると思われます。
だから、禁煙はよくないということにはなりません。
教訓としては、禁煙後の体重増加を少しでも減らすことが大事と考えます。
<参考>
1. 禁煙すると太るのは本当?
2. アメリカ糖尿病学会 糖尿病と喫煙に関する勧告 2000年
<喫煙状況と喫煙歴の評価>
・タバコ喫煙歴は、糖尿病に罹患している青年及び成人の全てからもれなく得られなければならない。
<喫煙の予防と禁煙の助言>
・全ての医療従事者は糖尿病患者に喫煙を開始しないように忠告をすべきである。この忠告は21歳以下の青少年の糖尿病患者に、喫煙をさせないように継続的に繰り返して行われるべきである。
・喫煙者に対する禁煙カウンセリングは糖尿病の日常診療の一環として行われなければならない。
・全ての糖尿病喫煙者に今この時点で禁煙する意志があるかどうか、確認すべきである。
<禁煙に成功する効果的な方法>
・全ての糖尿病に携わる医療従事者は、AHCPR (アメリカ保健医療政策研究局)の喫煙に関するガイドラインを周知して対処することが必要である。
・全ての糖尿病喫煙者に対して禁煙状況を評価し激励されるようなフォローアップシステムの構築が望まれる。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 歯周病 (歯槽膿漏) とタバコの切っても切れない関係(2010.10.11)
- 第2回「タバコは健康を損なう:動画CMコンテスト」受賞作品(2010.10.06)
- タバコを止めて良いこと1つー腰痛が改善する!!(2010.09.04)
- 心内対話を禁煙に応用してみる。(2010.08.21)
- タバコのマーケティングについて考えてみました(2010.08.14)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント